男性の脂性肌対策に有効な成分「トコフェロール」

「トコフェロール」という成分名はあまり聞き慣れないかもしれませんが、実は私達の身近にあるビタミンのことを指しています。

ビタミンは肌に良いと言われますが、トコフェロールは男性の脂性肌にどのように役立ってくれるのでしょうか。

トコフェロールの特徴や、脂性肌の方におすすめの効果などをご紹介します。

トコフェロールとは？

「トコフェロール」とはビタミンEの一種ですが、ビタミンEは次のような種類に分類されます。

これらのトコフェロールは、食品から摂取することができますが、油溶性のため油やタンパク質と同時に摂ると効率的に摂取できます［1］。

種類によって効果が異なる

トコフェロールは4つの種類に分類されますが、それぞれの種類によって効果が異なります。

ただし、活性酸素を除去する「抗酸化作用」は、α、β、δの3種類ともに備わっており、トコフェロールの基本的な効果だと言えるでしょう［1］。

トコフェロールの用途

トコフェロールは医療用としても利用されていますが、高い抗酸化作用を持つことにより、化粧品への応用も進んでいます。

化粧水や乳液、クリームなどに配合されますが、アンチエイジングを目的としたアイテムに多く配合されているようです。

トコフェロールが男性の脂性肌対策に期待できる理由

トコフェロールは抗酸化作用によって肌の老化を予防してくれますが、男性の脂性肌に対してはどのように機能するのでしょうか。

トコフェロールは皮脂の分泌量を抑える

脂性肌改善に効果的だと言われる理由の一つ目は、次のエビデンスのとおり、皮脂の分泌を調整する働きがあるからです。

トコフェロールのエビデンス

こちらのエビデンスは、雄のラットにトコフェロールを投与した後、男性ホルモンである「テストステロン」の量を調べた結果です。

しかし,dl-a-Tocopherylcrotonateについては,睾丸中のTestosterone量の減少と前立腺中のPolyamineの濃度が減少する点から,Testosterone合成を阻害する作用をもつことが推察される。

出典：（PDF）雄ラットの生殖器官成熟に及ぼすトコフェロール誘導体の影響：JSTAGEより／JSTAGE：雄ラットの生殖器官成熟に及ぼすトコフェロール誘導体の影響[PDF]

トコフェロールは男性ホルモンを調整する

上でご紹介したエビデンスを見てみると、トコフェロールを投与したラットでは、テストステロンが減少しているということがわかります。

実は、皮脂を分泌させるのは男性ホルモンであると言われているので、テストステロンの量を減らしてくれるトコフェロールは、皮脂の分泌量を抑える働きがあると考えられるでしょう。

抗酸化作用によって皮脂の酸化を抑える

トコフェロールの抗酸化作用は、皮脂の酸化を抑えるという働きも果たします。

もともと皮脂分泌量が多い男性は、酸化する皮脂の量も多くなりがちですが、酸化した皮脂は、特に若い女性から嫌われる臭いを放ちます。

トコフェロールのエビデンス

その事実を知るために抗酸化力の強いδ-Tocを用いて実験した．34例の腋臭患者に3％のδ-Tocのethanol・water solutionを腋窩に塗布し，30例は無臭となり，4例に軽度の腋臭を感ずるという優れた成績を得た．

出典：（PDF）δ-トコフェロールの腋臭症への効果：JSTAGEより／JSTAGE：δ-トコフェロールの腋臭症への効果[PDF]

トコフェロールは皮脂の酸化を抑制する

腋臭というのは、抗酸化物質がワキから分泌されないことが原因で起こりますが、抗酸化作用の高いトコフェロールを塗ると、腋臭の臭いですら無臭になると報告されています。

このように、皮脂が酸化しやすい脂性肌の男性にとっては、トコフェロールは臭い対策としても便利な成分なのです。

トコフェロールの脂性肌対策以外の効果

トコフェロールはアトピー性皮膚炎にも効果があると言われており、その理由は、ビタミンEは肌の細胞膜を守る力があると言われているため。

トコフェロールは油溶性のため、皮脂に溶けやすいという特徴を持っているため、肌の上の皮脂と混じり合って肌を守ってくれるのです。

特に、ビタミンCやビタミンAと一緒に肌に塗ると、ビタミンEの働きはより高まります［1］。

まとめ

ビタミンEであるトコフェロールは、男性ホルモンに働きかけて皮脂の分泌量を抑えるだけでなく、皮脂の酸化を抑制して、脂っぽい臭いも改善してくれる成分です。

トコフェロールを配合した化粧品を使えば、肌のテカリと皮脂の臭いの両方の悩みが解消されて、見た目のイメージを大きく変えることができるでしょう。

参考文献

参考［1］：一般社団法人 オーソモレキュラー栄養医学研究所：ビタミンE