男性の脂性肌対策に有効な成分「レチノール」

レチノールという成分は、他の化粧品成分と比べるとあまり耳馴染みがないかもしれません。

ですが、女性の間ではすでに一般的な美容成分となっていて、その効果の高さから、高級化粧品でも多数採用されている有効成分。

さらに、男性の脂性肌を直接的に改善してくれる効果もあるとされているので、男性にとってもおすすめです。

レチノールとは？

「レチノール」とはビタミンAのことですが、一般的に化粧品に配合されているのは、ビタミンA誘導体である「パルミチン酸レチノール」や「酢酸レチノール」などです。

レチノールは最近注目されている美容成分なので、多くの化粧品の中に配合されるようになってきました。

線維芽細胞に働きかけて肌を再生させる効果があるため、エイジングケアの化粧品に含まれていることが多いようです。

レチノールが男性の脂性肌対策に期待できる理由

レチノールはエイジングケアに効果的な成分ですが、男性の脂性肌にエイジングケアは関係ありません。

それでは、どうしてレチノールが男性の脂性肌改善に効果的だと言われているのでしょうか。

レチノイン酸は皮脂分泌を抑制する

レチノイン酸というのは、レチノールが変化した物質のことです。

レチノイン酸には皮脂の分泌を抑制する作用があると言われているので、男性の脂性肌に対してダイレクトな効果が期待できるでしょう。

皮脂分泌抑制のエビデンス

レチノイン酸のエビデンスは見つからなかったため、同じ働きをするという「アダパレン」という物質のエビデンスをご紹介します。

3 日ごとに 10 回塗布したところ、皮脂腺のサイズの低下や皮脂腺の基底細胞のターンオーバーの低下（チミジン標識率と分裂指数の低下）など、BPO による非ホルモン性の皮脂分泌抑制作用を示唆するいくつかの結果が得られた。

出典：（PDF）2.6.2 薬理試験の概要文：独立行政法人 医薬品医療機器総合機構より／独立行政法人 医薬品医療機器総合機構：2.6.2 薬理試験の概要文[PDF]

ホルモンに依存せず皮脂分泌を抑制

男性の脂性肌では、男性ホルモンが増加することによって皮脂の分泌が過剰になると言われます。

ですが、上記エビデンスのアダパレンでは、男性ホルモンに依存せず皮脂腺に直接働きかけることで、皮脂分泌を抑制したと報告されています。

まだ、この効果の詳しいことはわかっていませんが、アダパレンと同じ働きをするレチノイン酸に皮脂分泌を抑制する効果があれば、男性の脂性肌改善にとって大きな味方となってくれるでしょう。

コラーゲンやエラスチンの生成を促進

レチノールが男性の脂性肌対策に効果的なもう一つの理由として、コラーゲンやエラスチンなどの保水効果を持つ成分の生成を増加させるというものがあります。

コラーゲンは肌の水分を強力に維持するヒアルロン酸を作り出し、エラスチンはコラーゲンと共に肌を支える役割を果たしています。

レチノールが間接的にヒアルロン酸を増加させることで、肌の中の水分量が増えて肌のバランスが整い、皮脂の分泌が正常になる可能性もあるでしょう。

レチノールの脂性肌対策以外の効果

レチノールは線維芽細胞に働きかけるため、ニキビ跡や傷跡の改善、シミの改善など、様々な肌の悩みに対応する効果があると言われています。

レチノールのエビデンス

しかし,光老化動物モデルにおいて,紫外線照射によって光老化皮膚変化を生じさせたのち照射を中止すると,表皮直下に正常な真皮組織(修復帯と呼ばれる)の再生像がみとめられ,従来より創傷治癒促進作用が知られているレチノイン酸がこの修復を促進することが明らかにされた.

出典：（PDF）皮膚の老化：JSTAGEより／JSTAGE：皮膚の老化[PDF]

アンチエイジングに強力な効果

レチノールは、従来では難しいとされていた「すでにできてしまったシワ」を改善するための効果も発揮してくれるため、アンチエイジングでは非常に強力な成分として取り扱われています。

また、欧米ではニキビ治療薬としても利用されており、その用途は肌全体のトラブルを解消してくれると言えるほどです。

まとめ

レチノールはビタミンAという身近な成分でありながら、男性の脂性肌において皮脂分泌を抑制し、シミやシワ、たるみの改善など、アンチエイジングにも高い効果をもたらすとされます。

現在、レチノールが配合された化粧品は少々高価ですが、その価格に見合った効果が期待できるでしょう。

ベタつく肌を改善したい、そしていつまでも若々しい肌を保っていたい、という方には、これ以上ないくらいの理想的な成分です。